2020年グッときたMV大賞です。
今年は①映像美②メッセージ性③一体感に項目を分けてみました。
主観かつフィーリングで振り分けているので正確さはぜんぜん保証できませんが、好きそうな項目の好きそうなMVを見てもらえればと思います。
表記順は グループ名 - 曲名(MVの制作会社または監督名) にしています。
あと、これもいいよ!見ろ!ってMVがあったらぜひリプかマロで教えてください。
去年のはこちら。
※今年のMV大賞と言いつつ、去年の年末に出たのも入っています(前記事の後に出たため)
目次
映像美
映像美の項目には一目でグッとくるライティング、小物、シーンを使っているMVを入れています。
LUCY - Jogging (BTS FILM)
初めから「最高」を持ってきていいの?いいの・・・kpopは最高の宝庫だから・・・。
なんか知らんけど楽しい夢見たな…って気持ちになるMVです。一番初めの隕石が落ちてきて4人が慌てるシーンからずっといい。慌てつつも楽しそうなところが全然焦燥感を感じなくていいです。
ビルより大きいキリンも、空を飛ぶバスもその隣で浮かんでる宇宙飛行士も、実際いたらそんなに気にならないかもしれない。日常の中で何それ?って思うことがあってもマ、ばかでかいキリンもいるしな…って流せるようになったらいいですね。
歌詞は「君、遠くに行けるなら一人でどこに行きたいですか?」って歌いだしが限りなく柔らかくて好きです。ついどこか遠いところにいる自分を空想してしまう。一人で歩く川辺もいいし、薄暗くなってきた繁華街のウィンドーショッピングもいいし、身なりをきれいにして座るオペラもいい。
どこ行きたいかな、どこに行きたかったかな、と自分に問いかける中で温かい気持ちをもらえます。
終盤はガラッと雰囲気が変わって、ライブハウスの中のLUCYが映し出されます。このシーン、前半のシーンとの落差で胸がギュッとなっていいんですよね…。コンサート行きたいね…。ずっと熊とか宇宙飛行士とかが出てくる空想の中でおもちゃのドラムやバイオリンをいじっていたのに、いきなりライブハウスできっちりバンドしてくるところがずるいな~と思います。
ちなみに後ろの垂れ幕は"Rather be dead than cool"(coolになるくらいなら死ぬ方がましだ)と書いてあるみたいです(カート・コバーンの言葉)。
Red Velvet - Psycho (O)
何がいいって、「Red Velvetが美しくてかわいいのは"わかって"いるので次の段階に行きます」というSMの厳然たる思いがビリビリ伝わるところです。
それらはちょっとホラーチックだったりミステリーチックだったり、いずれも仄暗さをまとっているものではありますが、依然としてRed Velvetが作る空気は美しくてかわいくある。たとえ戻れないとわかってても、あの空間に手招きされたらフラッとついていってしまうと思います。
ちょっと系統は違うんですが、映画グランド・ブダペスト・ホテルのような色彩の繊細さもあり、母なる証明の映像に表れる一瞬の不気味な美しさもあり・・・Red Velvetの姿かたちと彼女らのためにあつらえられた空間が、何乗にもかかってうっとりするようなMVになっています。このセットで短編映画を一本撮ってほしいくらい。
あと、サビの超高音を甲高い声ではなく、それこそサイコっぽい声でよく歌えるな…と聴くたびに感心します。ラスサビ後の"Hey now we'll be ok"がしつこいほど繰り返される部分も好きです。本当に大丈夫になりそう。
MVの中でアイドルがスマホを持ってると温い現実感に悩まされる病気を患っていたので、ここまで非現実的な空間を描いてくれたのメ…チャありがたい気持ちです。ところでMV撮影はイハンギョル氏がやってることがわかったものの、MVの監督名が30分探しても"O(英語)"しか出なかったので結局誰なのかわかりません。知っている方いたらご一報ください。
G(I)-DLE - Oh my god (RIGEND FILM)
CUBEそんなお金どこにあったの?!
アイドゥルにはソヨンチャンという私のだいすきなラッパー兼プロデューサー兼作詞作曲編曲家がおり、この曲も彼女とyummy toneさんが作詞・作曲・編曲まで手掛けたものです。曲が外注じゃない分MVに予算回せたんですかね(邪推) 。インパクトの強い曲とインパクトの強いMVです。かっこいいよ~~!ウギちゃんとミンニちゃんの声が好きです。
きらびやかなシーンとおどろおどろしいシーンの落差がすごい。画面が切り替わるたびワクワクします。考察をしたい人は考察できる難解さと、楽しみたい人はただ楽しめる映像の華麗さを両立してるところがいいです。一粒で二度おいしい。いやホントにお金かかっとる・・・。
これは100回くらい言ってるんですが、2018年デビュー組、リーダー、作詞作曲(編曲)家、98年生まれと同要素たっぷりのホンジュン・バンチャン・ソヨンちゃんでいつか対談組んでほしいです。「新進気鋭のアイドルが語る自己プロデュース」「導き方もその人次第のリーダー哲学」とかやってくれ~~。
↓このMVたちもよかったよ紹介↓
SEVENTEEN - HOME;RUN (DIGIPEDI)
みんな見てみんな惚れ惚れとしたでしょうこれは・・・
ダンスの切れと場面展開の鮮やかさが最高。ニュートロの中でも上品かつ芳醇なMV(ワイン?)。前作のレフライでもそうでしたが、最後のクレジットでなんとも抜け感のある映像を差し込んでくるのが憎いですね。傍目から見ても上手な「アイドルとしての年の取り方」をしているなあといつも思います。
NCT - Make A Wish (JINOOYA MAKES)
キラキラのネックレス、シャンデリア、そしてお顔。
魅せる天才テヨンとシャオジュンルーカスの中華組が特に輝いて見えました。一番初めのテヨンがピョンと滑り込んでくるところも地味にいい。スタッフがカーペットでも引っ張ってるのかと思ったらテヨンが自力で滑り込んでてちょっと面白かったです。
MINO - Run Away (SL8)
いかにもCGという感じのエフェクトが大々的に入ってるMV、現実の質感との折り合わなさが目立ってあんまり好きじゃなかったんですがこのMVはぴったりハマっていて好きです。
CGじゃなきゃこの感情は表せなかったんだなという気持ちすらしてくる。サビの"トマンガ、ガガガガ、ガガガガ"は何度か聴くと、その裏のコーラスと混じり合って気持ちよく聴けるようになります。
メッセージ性
アイドルのMVには多かれ少なかれメッセージが込められていますが、その中でも特に強いメッセージを発信していると感じた、私がジ~ンとしたMVたちです。
Hwa Sa - Maria (Paranoid Paradigm)
mariaのMVは映画『マレーナ』のオマージュから始まり、ママムのメンバーが遊びに来るシーンで終わります。
タバコのシーン、そしてメンバーのシーン。ファサの生き様を表すにふさわしい描写だと思いました。
『マレーナ』は1940年代のイタリアを舞台にした物語です。町一番の美女であるマレーナは、その外見のために共同体の中で翻弄され、尊厳を失って、それでも生きていきます。
特に最後のシーン、自分が嘲笑されていると知りながらマレーナが町の人に挨拶を返した(そうせねば共同体の中で生きられないと理解した)シーンがキツかったです。集団リンチに遭ったというのに! あと、マレーナのことを愛と霞だけ食って生きる存在だと思ってる男主人公も最悪…。
映画『マレーナ』では他の人々と違う女性が、レッテルを貼られ、蔑まれます。
結末もハッピーエンディングとは言い難い。マレーナは共同体に(否応なしに)許しを与えつつ、町に戻ってきた夫の下へ帰ります。それで映画は終わりです。
mariaはファサの洗礼名です。
彼女の生き様を侮辱する人々に対して贈った曲であるmaria。(mariaの日本語訳)(もちろん同時に、女性性を持つ人間に対してのエンパワメントを望んだ曲でもある)。
MVの冒頭ではマレーナがオマージュされました。そして曲の最後、一人で座るファサのもとに、花束を携えたメンバーが笑顔でやってきて幕が閉じます。
ファサは、町の人に挨拶を返さなかった。
彼女に嘲笑や侮蔑を投げつけた社会に、仲間に入れてくれと頭を下げなかった。Mariaの歌詞にはそれが強く表れています。
その代わり、彼女には友人が(三人も!)いた。これは、メチャクチャ救いなのでは?
↓このMVたちもよかったよ紹介↓
Paul kim - Overload (BTSFILM)
ウソンのFACEが好きな人間がこれを見逃すはずがなくて…。間の取り方といい被写体として選ぶもののセンスといい絶妙。ポールキムのダダのこね方、大人が意図して振る舞う子どもの所作という感じで目尻を拭きたくなります。これもlucyのjoggingと同じBTSFILMでした(ちなみにアイドルのバンタンとは関係ない)。
3YE - QUEEN (AVLE)
がれき処理場をバックにガールズグループが踊ってる…。
3YEはデビュー当初からかっ飛ばしてるグループで、このMVでも強さを存分に見せつけてくれました。映画『新しき世界』をオマージュしたMVだそうです。サビのダンスと低音がかっこいい。衣装もかわいくてかっこいい。ラップもうちょっとがんばって…。
ASTRO - Bad Idea (ambience)
ASTRO 아스트로 문빈&산하 - Bad Idea M/V
フォロワ~さんに教えてもらった曲です。ありがて…。
ユニットの醍醐味を存分に感じられるMVです。
人数が少ないと役割やストーリーがよりはっきり追えるので見てて楽しいですね。ムンビンによるサナの救出劇…と思いましたがどうなんだろう。アストロガチ勢がしっかり考察してくれていると思います。
あとムンビンとサナでこれ出してくるんだ…ファンタジオ…と思いました。
一体感
曲とアイドルの一体感がものすごいMVたちです。今この瞬間、自分たちこそがこれをやる価値がある!と教えてくれています。ありがたいね…。
Golden Child - Pump It Up (Zanybros)
予告の時点で予感した「最高」をMV本編でしっかりと味わってしまい目の前がチカチカしました。
ロトゥでゴルチャくんを知ったオタクなのにこの感動?!それより前にゴルチャくんを推してたファンたち、大丈夫だったのかな…。おめでとう…。
2019年の年末から2020年の夏前まで、ゴルチャくんたちは自我を求める三部作というかなり壮大なことをやっていました。そして2020年秋、初心(ダムダディ)に戻ろうと思ったのか流行りのニュートロに乗ろうと思ったのかわかりませんが、とにかくゴルチャくんたちは「Golden Child」になろうと決め、実際になり遂げました。
ア~最高! 明るくて騒がしくて、見てるこっちまで元気になるゴルチャくん。
pump it up、何から何まで「他の何者でもないGolden childがやるべき」コンセプトだったのが本当に本当によかった ゴルチャくんを理解してゴルチャくんのために働いてくれた人々が、その意思を正しく受け取って関わってくれた人々がいたということなので
— 前川 (@mae___kawa) 2020年10月9日
普段の姿をスタッフ総出でとびきり丁寧にパッキングしてくれたようなものです。シーンの随所にゴルチャくん(ジュチャンのDJ、怖がるボミン、おどけるチャンジュン…)があるので、ゴルドゥニスが見ても最高、この動画でニスになる人がゴルチャくんを理解した後に見ても最高という隙を生じぬ二段構えなんですね。すごい。
三年目だろうが四年目だろうがとびっきり明るい曲でいい!という偉大な前例を作ったという意味でも輝かしいMVでした。
Stray Kids - Gone Days (Muply)
私がめちゃめちゃ好きな演出です。アイドルがへんてこなセットの中で演技するみたいに歌詞を口ずさむの、ハチャメチャにすきなんですよ…。
しかもそれぞれにピッタリの空間で歌詞に合った小芝居もする。
セリフのフォントが変わってるのも細かい~すきだ~。ヒョンジンがやさぐれ役なのもスンミンが若者ルックで苦言を呈するのも解釈一致です。ありがとうMuply。
ちなみにGone Daysはそのまま「過ぎ去りし日々」と、韓国語の「ゴンデ」(頑固親父、日本語で言う「老害」に少し近いニュアンス)のダブルミーニングを持つタイトルです。
スキズくんは作詞作曲を手掛ける3RACHAを筆頭に、真面目で心優しい子どもたちという印象が強かったので、このGone daysで「周囲、うるせ~」って言ってくれてよかったです。
というのも2018年に出した曲(カップンサ)では「笑ってよ、空気を重くしないで」と歌っていたので・・・。そんなことしなくていいのに!
もちろん、「自分を理解しない人を気に掛けず生きよう」というマインド自体は必要だし、有用なタイミングも確かにあるけれど、その動機が「雰囲気を悪くしないために」なのはあまりにも、あまりにも悲しいじゃないですか。
今回のメッセージは"特定の層の大人"に向けてのものだったけど、それでも周囲に対して自分の感情をさらけ出そうとするスキズくんの意志、強さ、覚悟が見えた曲で、そうした意味でも嬉しかった一曲でした。
muplyとスキズくんはズットモなので、Back doorでもmuply specialと称してすごい手間のかかったビデオを作ってくれています。(https://youtu.be/IuQ0nddkU2M)
Yooa - Bon voyage (SUNNYVISUAL)
解放と郷愁…。
WMがMVにこだわりを持っているのは知ってましたが、これだけ上手に唯一無二の雰囲気を持つユアを生かせる事務所だとは思いませんでした。後半の怒涛のCGにはちょっと引き気味になりましたが…。
お日様を煮詰めたみたいなカラーのロングストレートもよく似合っていたし、後半からの黒髪ショートは思わずドキッとしました。どれだけ短い曲でも三分はMVがあり、そのうち大抵のMVは一分で見飽きちゃうんですが、全部のシーンを視聴者に見守らせるパワーがすごかったです。
ONF - It's raining (Road to kingdom)
MVじゃないぞ!でも「完全」なエンターテイメントだから入れました。
これがダンス、これがミュージック、これがONF!
ワクワクしっぱなしのステージです。このステージのあとにカムバがあり、見事私が今年一番聴いた曲になりました。ちなみに最初の構想ではカーテンは小物になく、休憩時間中メンバーが練習室に残されてたカーテンで遊んでたらダンスの先生に見つかり、「いいんじゃない?」ってことになったそうです。ウ~ン英断。
以上、2020年今年のMV大賞でした!
心にグッとくるMVがたくさんあっていい年でした。来年もそうなるよね、ハム太郎(ヘケッ)。冒頭でも言ったんですが、このMVおすすめだけど?ってMVがあったら教えてもらえるとうれしいです。あと「記事いい感じだった」とか感想あったら言ってもらえるとすごく嬉しいです。
良いお年を!