泥のように眠る

アイドルのはなし 引用はご自由に

P1Harmony / 便利屋としてのスーパーヒーロー

P1Harmonyがカムバしました。今作(BLOW UP)が10作目のミニアルバムです。

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寂しさを滲ませながらも大きな希望がまたたく、今年一番好きなMVです。

いきなり話が脱線しますが、中小事務所の(もはやピワンくんの稼ぎのみで回している節がある)FNCからコンスタントに名曲&名MVが出ることに毎度驚嘆しています。
ギホが「こんな感じでカムバしたい」と製作会議でリファレンスを出すビハインドを昔見ましたが、コンセプトに熱心なメンバーがいるとしても、いったいどういう制作環境がピワンくんを「ここ」に至らせるのかいつもいつも不思議です。感動より、恐怖と言った方が近いかもしれないです。FNC、P1Harmony、本当にありがとうございます(?)。

ということで、ここからはBLOW UPのMVの話をします。

歌詞(公式MVの和訳)

 

Oh
Drip too hard you know I got that
Juice
限界まで上げ、上を向かって飛べ
Moon
軌道の外側にいる
I’m so superhuman

Anytime on the rope
綱渡り独りで
It’s about how we roll
何をいわれようと
We danced on the rope
息が止まっても
もう一度 Camera roll

Yeah yeah yeah
滑ったりしない
危うく Ride
6つの心臓にエンジンをかける
オレの息から感じる
Hurricane blowin’ up

Gimme that gimme that
Gimme that gimme that
Gimme that gimme that
キマってる

Spending it spending it
Spending it
ピンと来た
気合で枠を破る
On me

Gimme that gimme that
Gimme that gimme that
すべて書き直す Rule
基準となる Proof

I’m so blessed
Going up going up
叩いて Skyline
Do what I want
Give a what
今は My time

That’s right
限界を壊し燃やせ
火をつけ On fire
Call me the fuse
I’ma blow it up

Blow it up blow it up blow it up
Now we blowin’ up
Blow it up blow it up blow it up
Now we blowin’ up

オレの波に乗って
破裂しそうな Pressure
When I
Blow it up blow it up blow it up

We vibin’ we feinin’ we mobbin’
勝手に手振りで
Always flockin’
You lyin’ you fakin’ you cryin’
キレても顔には出せないだろ

Blow 上 上 上へ
は、走る Settle
上 上 上へもっと
Blowin’ up
I’m with it すでに
頭を下げ Too high
B 避けて Low

余計もう一回聞く
Don’t need no ready
Ready set オレの居場所はここ

Gimme that gimme that
Gimme that gimme that
Gimme that gimme that
キマってる

Spending it spending it
Spending it
ピンと来た
気合で枠を破る
On me

Gimme that gimme that
Gimme that gimme that
すべて書き直す Rule
基準となる Proof

I’m so blessed
Going up going up
叩いて Skyline
Do what I want
Give a what
今は My time

That’s right
限界を壊し燃やせ
火をつけ On fire
Call me the fuse
I’ma blow it up

Blow it up blow it up blow it up
Now we blowin’ up
Blow it up blow it up blow it up
Now we blowin’ up

オレの波に乗って
破裂しそうな Pressure
When I
Blow it up blow it up blow it up
Now we blowin’ up

Do what I want
Yeah I don’t give a what
もっと強く叫べ
Let’s party in the truck

Come on dance, what you doin’
身を任せ Feel the drum
When I
Blow it up blow it up blow it up
I’ma blow it up

 

ヒーローの帰還

MV 00:10~

BLOW UPのMVは6人の授賞式で始まります。なんといってもスーパーヒーローの帰還が今作のテーマ。
新聞に書かれるのは「またもや世界を救ったスーパーヒーロー!」「我らがヒーローに待ち受ける次のチャレンジとは」「プレッシャーを跳ね除けて進む彼らに音楽業界は釘付け」。

二年くらいスーパーヒーローをお休みしていたP1Harmonyです。
SAD SONG(2024年10月リリース)ではヒーローでいることに疲れて、その悲しみを吐露しました。
DUH!(2025年5月リリース)ではヒーロー活動をストライキし、好き勝手暴れます。
UNIQUE(2026年3月リリース)ではヒーローの不在に群衆がデモを起こし、6人は捜索されます。

6つの心臓にエンジンをかける

そしてBLOW UP、再起の時が来ました。
MVの冒頭でちゃっかり世界を救っているので、そのあとはスーパーヒーローとそれを取り巻く市民にフォーカスが当てられます。三作にわたる葛藤の末、彼らは便利屋として市井の人に寄り添うことにしたのでした。

冒頭では三連肩車(?)で火の手から逃れ、ラストでは月面で踊るスーパーヒーローたちですが、間に挟まれるのは「小さな幸せ」「束の間の穏やかさ」といった形容詞が似合う舞台です。

SAD SONGのラストで独り泣いていたジウンくんが、"I'm so superhuman"と不敵に笑いながら歩き去る。猫に囲まれるインタクは、便利屋として猫探しの依頼を受けたのでしょうか。ふわふわのネコチャンに引っ掛かれても絶対に死なない(し、その顔面の強度も損なわれない)インタク。新しい世界の始まりです。

I'ma blow it up

ソウルくんは昼には天使の格好で、夜には悪魔の格好で踊ります。スーパーヒーローとしてありながらも、進む道を迷っている。ソウルくんの周りで遊ぶ子どもたちはそれぞれが悪魔と天使に扮しています。ピワンくんはどちらに転んでしまうのか。

でも、大丈夫です。"I'm so blessed"(オレは祝福された存在)とギホが歌いますから。その超能力で子どもに飴をやり、落下物を受け止め、腕を広げて"Do what I want"と自由を謳います。そして何より重要なのが、一見悪魔に見えるモチーフのファッションに身を包みながらも、ピワンくんは世界を救っているのです。

サビ前で独りきり、部屋で矢を操るテオ。 
次に映るジョンソプ自身が起爆剤です。

BLOW UPは、そのサビをいずれもこじんまりとした場所で踊ります。小児病棟、式典後の広場、休憩中のヨガ教室、人形劇でも行われそうなステージ、無人の廃墟。彼らに付き従うダンサーは登場せず、群衆や子どもがその瞬間瞬間に立ち会います。ここにいるのはあくまでスーパーヒーローと市民たちです。Blow it upするのは彼ら6人でなくてはなりません。

小児病棟でニコニコと踊る6人。私は厳粛な雰囲気の中でふとこぼれる笑みを愛しているのですが、ここはまさにそんなシーンです。

無邪気な子どもがおもちゃの矢を撃った後、ヨガをする大人が倒れます。ジョンソプが大人の中心に立つ一方で、テオが子どもに囲まれます。逆じゃないんですね。「破裂しそうなプレッシャー」とうたいながらも穏やかにほほえむテオ。子どもに囲まれておじぎするソウルくんからact2.は始まります。

Always flockin’

屋台の代打を頼まれたのか、ギホは額に汗をかきながら鶏の丸焼きを作ります。ここではイケてる屋台の店員と、爆発する部屋で平然と茶をすするスーパーヒーローが同時に存在します。

建設中のP1Harmony MEMORIAL HALLを撮影現場にしちまう6人。ジョンソプが「オレの居場所はここ」と言う通り、ついにピワンくんたちは腰を落ち着ける場所を見つけました。

これ何?

話がまた脱線するんですが、6人が埋めている箱ってなんなんでしょうか。

これ何??

02:18で箱の中身がアップになります。アーチェリーの矢、機械仕掛けの心臓、時計、手帳。新しい世界の始まりの小道具とは思うんですが、それを埋める=過去との決別を示唆するのか? 何かわかる方いたらリプライとかマロとかください。

話を戻します。

P1Harmony MEMORIAL HALLのWALL OF FAME(名誉の壁)を通り抜けて、ダンスする6人に近づくカメラ。踊りが伝播していくさまが別角度から三回も美しく写されて、ソウルくんのシーンに切り替わります。

「すべて書き直すRule、基準となるProof」。鏡と向き合うソウルくんと、鏡に書かれた子供の字であろう"Super Hero P1Harmony"。ソウルくんの服装はさきほど善悪で揺れていたシーンのものです。このとき、ソウルくんの決意が固まったのではないでしょうか。

 

 

ジウンくんの"I'm so blessed"(オレは祝福された存在)! 次の瞬間、空間から現れた5人が雨の中一緒に踊ります。部屋の中なのにびしょびしょの6人。SAD SONGと同じ状況ですが、心境はまるで違います。自分が望んだこととして、今の状況を楽しんでいる。치고 Skyline(叩いて Skyline)のジウンくんを見てください。

심부름센터(便利屋)P1Harmony

I'ma blow it up

 

BLOW UP

今回のMVで特に感動したポイントは、P1Harmonyがヒーローを再定義した点にあります。地球を救えばスーパーヒーローなのか? 貴金属をジャラジャラいわせればスターなのか? 悪役を打ち倒せばハッピーエンドなのか?

MV冒頭ですでにスーパーヒーローとしての役目を全うした6人です。MV中では迷いながらも善行を重ね、便利屋として人々に寄り添うことを決めます。社会を一発でひっくり返すようなムーブメントではなくても、彼らには市民がついている。大人も子どもも、彼らと共に在る。あとオタクも。

そのうえ、6人にはお互いがいます。一人きりで踊る必要はないし、望めば6人きりで踊ることもできる。これから先、6人は自分たちがやりたいこととしてスーパーヒーローを生きていくのでしょう。6人にとっても、それを見つめる市民にとっても、なんと幸せなことなのでしょうか。P1Harmony、中小事務所の光であれ……。

終わりです。6人が埋めた箱が何なのかわかる人は教えてください。

UNBROKENたりえるのか

まずはオネノプくん、大阪と東京公演お疲れ様です。ファンコンと言いながらも普通のコンサートに引けを取らない曲数、素晴らしいパフォーマンスをありがとうございました。

 

うつ病ダイバーシティ(小林聡幸著、金原出版)というエッセイで、こんな一文がある。

「私はそれを失ったが、それの何を失ったのかがわからない」

書籍が手元にないので一言一句正確な文章ではない。だが、私は、オネノプくんの何を失ったのかわからない。

2025年11月に発売されたUNBLOKENは、アルバム制作がMONOTREE(モノツリ)主導ではない初のカムバックだった。

デビューから前作(ONF:MY IDENTITY)までタイトル曲を担当したファンヒョンさんは、いずれの曲のクレジットにもいない。WMのウォンミンCEOは今年8月に退任した。

私生活やらなんやらで事務所とメンバーが燃えて、数日経った後に謝罪文を出して遅すぎるとまた燃えた。

思えば、同伴入隊に再契約、兵役中のアルバム発売、除隊後の完全体でのカムバック。夢のような、してほしいことは全部してもらったと思う。世の中は諸般の事情で叶わぬグループばかりだ。

今年の初めは良いスタートだったと思う。アルバムの売上枚数はオネノプくんの初週で一番高かったし、音楽番組で一位も取ったし、MVも回ったし。

Part1というから2が出るのだろうと待っていたら、一向に出なかった。初夏に出すのかな?からソウルコンで初披露かな?まで経過して、そのうち、再々契約や私生活の話でオタクコミュニティ(FUSE)が燃えに燃えた。Part2でもないUNBROKENアルバムにファンヒョンさんはいなかった。

夏頃から、私は何を失ったのか、と自問し続けてきたように思う。小さいながらも穏やかで愛情深いファンダム。駆け出しの頃と同じように仲良く宿舎に住み続けるメンバー。私が愛する音楽を作り続けてきたモノツリ。オネノプくんに対する私の気持ち。

全てが変わったわけではないので、全てを失ったわけではない。オネノプくんもファンダムもあるし、アルバムはなんにせよ発売されたし、何より声は同じだ。

メロディに乗った彼らの声が、彼らの体から発せられている。顔も性格も(もちろん年月とともに多少の変化はあれど)、オネノプくんはオネノプくんのままで生きている。

それでも、新しいアルバムの名前がUNBROKENだったことは、私を困惑させた。何をもってして壊れていないと定義できるのだろう。ファンヒョンさんがいないアルバムなのに。REBORNとかRESTARTの方がまだ納得できた。RBWに怒りは覚えただろうけど。

コンサート前まで本当にそんなことをずっと考えていた。公演前日にようやくアルバムを全曲聴いて、脱力感を覚えながらも会場に向かった。

なんでビュビュやチュムチョに寄せたんだろうと率直に思った。

オネノプくんのモノツリ曲が好きだったとか、これはいつもの製作陣じゃないとかの先入観なしで聴いたら、別に普通の五曲だと思う。私にとってすっごく好みの曲があるわけじゃないけど、別に普通のKPOP。それがUNBROKENということなのだろうか。

 

公演を観ながら、なんか端の席(3階)だったので本当に静かな頭で観ながら、オネノプくんという存在を固定されたものとして考えすぎだったのかもと思った。花瓶とか。だから騒動のたびにひび割れていったイメージがあった。

実際は、6人と会社とモノツリと、いろんな要因が、柔らかな球体みたいに反発したり引き寄せあったりしてその姿を変えている。ひび割れはせずとも、その姿が一度変わったら戻ることはない。だからまあ、UNBROKENではあるのかな、と理解はできた。確かに壊れてない。

Love effectの「遥か未来でそれぞれの世界で違う格好でも そしてまた次の惑星で巡り合うと約束して」という歌詞には、ここって次の惑星だったのかも?と思った。でも私は前の惑星を愛してたよ。

最後に披露された曲はビュビュだった。ビュビュって本当に泣けるくらい良い曲なんですよね。

「살아 있다 우린 꿈을 꾼다 우린 아름다운 우리 여기에 있다(生きている僕たちは、夢を見る僕たちは 美しい僕たちはここにいる)」って歌詞。

本当にそう! 全てを包んでしまう歌詞ゆえに、苦しむ私すら逃れられない。こんなに残酷で優しい曲だったとは知らなかった。

 

コンサートを終えてなお、UNBROKENなのも、変化が否応なしに起こるのも認めるから、せめて(せめてどころではないが)ファンヒョンさんに戻ってきてほしいと駄々っ子のように願っている。再々契約の話はどうなったのだろう。ユトを筆頭にメンバーたちは前向きな発言をしていたけれど、RBWにそこまでの甲斐性があるのだろうか。

まさか、何を失ったのかわからないまま、その喪失感だけを抱えて生きていかねばならないのか。