泥のように眠る

アイドルのはなし 引用はご自由に

N誕生日に寄せて

アイドルを好きな理由の一つに、完璧な人間を見たいという欲が少なからずあると思う。もっとも、わたしがそうだからというだけであって、他の人々がどういう理由でアイドルを好きなのかは知らない。(ひょっとしたらこの理由は少数派なのかもしれない。)だけど、私がVIXXのNについて話すとき、好きなアイドルについて話すとき、いつもこのことを考える。

きれいな顔で、きれいな身体をして、常人にはとてもこなせないようなダンスをしながら歌をうたう。アイドルってそういう職業だ。もうそれだけで称賛に価すると思う、お金を払って追いかける価値がある。だけど、欲が深いと自分でも思うけど、私がアイドルに求めるものはそれだけじゃない。

私はこういう人間なので、ヌッパンでえんちゃんが言ったことに、もろ手を挙げてそれだよ!って言ってしまった。それなんだよ!私が求めてるのはそれなんだ…。このヌッパンのあと、何回もインタビューで同じことを尋ねられては笑ってそれに応えるえんちゃんを見た。きっとたくさんのファンが彼の発言を嬉しく思ったんだろう。そうだよ、メンバーが特別仲良くしてくれてるとファンは本当に嬉しいんだ…。それが真実のように心底思えたなら、それほど幸せなことってないんじゃないか。

肝心の発言、「生まれ変わったら、好きなことをしてていいよ。僕が皆を集めるから。」という言葉だけど、こんなに温かい言葉をどこの誰が見てるかもわからないカメラの前で言ってくれるのかと、感動したと同時にこう思った人は多いと思う。私も思った。でも、VIXX TVや番組、雑誌のインタビューで毎回のように見せるメンバーへの愛を信じなくて、一体何を信じられるだろう。「たとえ間違ってるんじゃないかと思っても、ヒョンが決めたことなら、ヒョンについて行くよ」と言ったメンバーがいるのだ。私も行きつく先が地獄だと知っていてもえんちゃんについて行きたい。

 

えんちゃんにたいしてここまでしてくれるの?と思うことは多い。なんで?とも思う。ただ素敵な人がいて、好きで追いかけてるのに、なんでわざわざ振り向いて目線を合わせようとしてくれるのだろう。ファンに贈った広告を私はリアルタイムで知ることができなかったけど、もしもその時知ることができたならきっとすごく驚いた。同じように、えん返しのえんちゃんが直筆で書いた手紙を読んで、特別驚いたことがある。ファンクラブ限定のものだから秘密にしておかなきゃいけないのは重々承知なのだけど、ほんの少しだけ書かせてほしい。

「おおきなステージや はなやかなしょうめいがなくても、しょうじきな ぼくの はなしをつたえて いっしょに はなしが できるじかんが もてれば じゅうぶんだと おもったんです」

「ぼくは みなさんにとって VIXX차학연 だけではなく ともだち차학연 でいたいです」

アイドルって、多くのアイドルが目指すものって、たぶん違うものだ。もっと大きなステージを、もっと華やかな時間をって思いながら20代の大半を駆け抜けていくものなんじゃないか。もちろんえんちゃんにだってその気持ちはあるだろう。ファンタジー期の番組でハイドの真っ黒メイクを笑われたとき、「話題になったからいいんです」と真面目な顔をして言っていた。そもそもコンセプトドルという異名を取るようになったのだって、少しでも他と抜きんでたものを、と思っての行動だったのだと思う。年末の桃源境で話題になったことを誇らしげにする姿も見てきた。

だけど、1人の青年として、チャハギョンとして考えた時思うことはまた違うのかな、とも思う。とことん誠実な人だから、誠実に向き合おうと思ってくれるのだろう。それで、えんちゃんの思う誠実な付き合い方が、ファンを友だちのように考えて接することなのだ。一時代を築いたアイドル(別れの公式で8冠…8冠とは…)が!

1から10まで自分で考えた舞台を作ること、サインを何千枚も手書きすること。ファンが考えるよりずっと難しいんじゃないか。こうやれたらいいな、と思うことは誰だってするけれど、実現させることへの努力をし続けることは簡単なことじゃない。でも、えんちゃんはそれをやってくれて、どういう気持ちでファンに向き合いたいのかまで伝えてくれる。そういうことは言ってくれなきゃわからない。ファン(私)はなんでもかんでも深読みするし、現実がこうだったらいいなと常に考えてるはいるけど、結局本人の口からしか真実は語られないのだ。だから、はっきりと言葉にしてくれるのが本当にありがたいと思う。

言葉にする。このことにおいてえんちゃんはとても正直で、周りをよく見ていて、その上で最良の判断を下せる人だと思う。兵役について、メンバーについて、これからについて。びくすを、えんちゃんを知った当初は彼を「愛したいし愛されたい人」だと思っていた。確かに彼はその通りの人なのだけど、それと同時に冷静な人なんだとも思う。自分のファンが何を求めているのか完全に把握して、その通りのものを、時にはそれ以上のものを差し出してくれる。

私は身勝手なファンなので、アイドルの本心こそが大切だとは思わない。ただ、信じさせてほしい。好きなアイドルが言った言葉すべてが本当のことだと思わせてほしい。たとえ嘘だったとしても、最後まで貫き通してほしいのだ。めちゃめちゃに身勝手な自覚はある。こんな願望が叶えられるわけがないのに、えんちゃんはそれを完璧に、完全にやってくれる。

メンバーに対する愛情、ファンに向ける誠実さ、アイドルとしての生き方、チャハギョンとしての生き方。全部完璧だと思う。メンバーや自分のファンに笑っちゃうくらい強い態度で接する瞬間も、自分の思い通りに事を進めようとする強引さも、全部素敵だ。完璧の一部だ。VIXXのNは完璧な人だ。

 

不安が全くないとは言い切れない。特にこれからはびくすにとっても、私たちファンにとっても、少しだけ厳しい時間が待っている。ファンが勝手に先走って考えてしまうことはもうどうしようもないし、彼らの真意を勘ぐるあまり、彼らからしたら思いもしないことを真実だと決めつけてしまうこともある。そのたびに彼らにつらい思いをさせてしまうだろう。えんちゃんはそれに耐え忍んでしまうだろう。そして、優しくて誠実な言葉を紡ぎ続けてくれるのだ。それがありがたいとも思うし、同時に切ないとも思う。もう少し考えて、彼らに対して誠実でいられたらと思う。えんちゃんが望むファンになれるか、友達のようになれるのかはわからないけれど、そう振る舞おうと努力することはできる。完璧な人にそぐうファンでいたい。そう思わせてくれるえんちゃんはすごい。

誕生日おめでとう。これからもえんちゃんが幸せでありますように。