泥のように眠る

アイドルのはなし 引用はご自由に

誠実で明るい人よ

日プが終わった。3、4回目あたりから追いかけ始めたので、彼らの努力と悔し涙と、少しぽっちの喜びを私が見ていたのはわずか3か月にも及ばない。

プデュの日本版?大丈夫?都道府県規準なのオモロだな・・・と横目で見ていた期間から安藤くんのことは知っていた、かっこよかったので。お顔が良いので1pickするとしたらこの子だろうな、と軽い気持ちでツイートして、それからしばらく経って日プを見始めたときも、安藤くんは顔の良い人という印象しかなかった。

今の、世間一般的な美しさの規準、に合致するだけの人ではないと理解したのは確か、佐野くんとヒコがポジション争いをした時のことだったと思う。優しかった。人の話をよく聞いて、それを受け入れることを知っている人なのだなと思った。

アイドルは同じ音楽をみんなで作って、同じステージにみんなで立たなければならないから、お互いの考えがぶつかったり、価値観の違いにもどかしくなったりすることもあるだろう。安藤くんはチームに必要な人だと強く思った。

そして何より、私がその優しい姿を見たかったのだ。世の中にはやさしい人ばかりいるわけではないから、安藤くんの分け隔てないやさしさがとても貴重なものに見えた。だれかにとって優しい人はたくさんいる、というか大体のひとがそうだ。私だって好きな人には優しい。私に優しくない人だって家族には優しいんだろう。でも、それを私が見ることはできないし、感じることもできないから。誰にでも見えるところでだれにでも優しい安藤くんが好きだった。

あと、いくつか好きなところがある。初めての投票結果が終わって60人になったあと、すごく上位にいたのに「60人の中に残らせていただいたので」と言ったところ。ヒコの腕の中から笑顔で顔を出していたところ(なぜ?)。僕の名前は誠実で明るい人になってほしいという親の願いからだと、二、三回くらい別々の動画で言っていたところ。よなしろくんと同じ課題曲をできることになって、本当にうれしそうにしていたところ。ほかにもたくさんある。

実は、安藤くんはデビューできると確信していた。だってあんなに顔が良くて優しくて、歌がうまいうえに良い人なのだ。6位とか7位とか、そのくらいに名前を呼ばれて涙ながらに花道を歩き、選ばれた実感を語るのだと信じていた。

安藤くんは最終14位で終わり、デビューへの道は閉ざされてしまった。

 

正直なところなんで?という気持ちが今でも消えない。なぜ、なぜあんなにかっこよくて優しくてキュートな人が落ちたのだろう。あの子が入ったのに、とは思わないけれど、だってそれぞれに人気があってファンの子たちが投票を頑張ったのだから、思わないけど、でもなんで安藤くんが落ちなければならなかったんだろう。

JO1になった安藤くんを、いつか推さなくなる日が来るだろう。私は永遠を言葉にできるほど誠実な人間じゃないから、そんな日が来ることをなんとなくわかっている。安藤くんたちが出るCMを横目で見る日が、新曲をダウンロードしたはいいものの聴くことを忘れる日が来るだろう。

そんな日が来てほしかった。私が彼に対する情熱を失っても、相変わらず誠実で明るい人が、私の関わりのないところで、スカイくんやよなしろくんと一緒にどこかで、見ようと思えばすぐに見られるところで頑張っている日が来てほしかった。

安藤くんが、日プのあとに取る道がアイドルなのかエンジニアなのかはわからない。アイドルだったらいいのになと思う。役者としてのオファーも来ているかもしれないけれど、安藤くんが安藤くんのままテレビに映る未来の方が個人的にはうれしい。

優しい人が、善良な人が好きだ。アイドルを愛するのは私が幸せになりたいからだ。うつくしいひとがステージの上で輝く姿を見て満たされたいからだ。安藤くんはそんなアイドルになると思っていた。今でも思っている。

誠実で明るい人よ。いっときの夢をありがとう。あなたの進む道がこの数か月よりも険しいものでなければいい。